在宅勤務を理由に転職・退職するときは、会社への不満だけを伝えるのではなく、働き方の希望と、その理由を簡潔に説明するのが基本です。転職活動では「なぜ在宅勤務が必要なのか」「転職先でどのように働きたいのか」を伝え、退職時は「在宅勤務を含む働き方が自分の希望と合わなくなった」と落ち着いて説明します。
転職活動で在宅勤務を希望するときの伝え方
面接では、在宅勤務を希望する理由だけでなく、在宅でも成果を出せることや、必要な出社には対応できるかを伝えると判断してもらいやすくなります。
基本の伝え方
次の順番で話すと、希望条件だけを伝えるよりも具体的になります。
- 現在の働き方や経験を説明する
- 在宅勤務を希望する理由を事実ベースで伝える
- 在宅勤務でどのような成果を出してきたかを示す
- 転職先で希望する勤務条件を確認する
たとえば、次のように伝えられます。
現在は週に数回出社する働き方ですが、業務の多くはオンラインで完結しています。在宅勤務では集中して作業でき、納期管理や社内との連絡にも問題なく対応できてきました。今後は、在宅勤務を基本としながら、必要な会議や業務に合わせて出社する働き方を希望しています。
現在の会社で在宅勤務が認められなくなったことが理由なら、次のように説明できます。
これまで在宅勤務を取り入れて業務を行っていましたが、勤務方針の変更により、今後は原則出社となる予定です。業務内容だけでなく、これまで培ってきた在宅での業務管理やオンラインでの連携経験も生かせる環境で働きたいと考え、転職を検討しています。
在宅勤務を希望する理由は、業務との関係を示す
「通勤したくない」「家で働きたい」だけでは、仕事への姿勢を不安に思われることがあります。理由を伝えるときは、通勤時間、家庭の事情、居住地、集中しやすい環境などを、業務への影響と合わせて説明しましょう。
| 理由 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 通勤時間を減らしたい | 通勤時間を業務や学習に充て、継続的にスキルを高めたいと考えています。 |
| 家族の事情がある | 家庭の事情に対応できる働き方が必要ですが、勤務時間中は業務に集中できる環境を整えています。 |
| 居住地に制約がある | 居住地を変える予定があるため、勤務地に左右されにくい働き方を希望しています。 |
| 集中して作業したい | 資料作成や開発など、集中が必要な業務では在宅勤務のほうが効率よく進められると感じています。 |
| 会社の方針が変わった | 現在の勤務方針では希望する働き方を続けることが難しくなったため、転職を検討しています。 |
家族の病気や介護など、詳しく話したくない事情まで説明する必要はありません。「家庭の事情がありますが、業務時間や連絡体制には支障が出ないよう準備しています」のように、必要な範囲にとどめても構いません。
面接で確認しておきたい在宅勤務の条件
「在宅勤務可」と書かれていても、毎日在宅できるとは限りません。転職を決める前に、実際の勤務条件を確認することが大切です。
- 在宅勤務は週に何日できるか
- 入社直後や試用期間中も在宅勤務が可能か
- 出社が必要になる業務や会議は何か
- 出社する場合の勤務地と頻度はどの程度か
- 在宅勤務の制度が一時的な運用ではないか
- 勤務時間や連絡方法に決まりがあるか
面接では、次のように聞くと具体的な条件を確認できます。
求人情報に在宅勤務可とありましたが、実際には週何日程度の利用を想定されていますか。入社後すぐに利用できるのか、また出社が必要になる主な場面も教えていただけますか。
在宅勤務の回数や対象者が会社や部署によって異なる場合もあるため、求人票の記載だけで判断せず、選考中に確認しましょう。
退職を伝えるときの在宅勤務の理由
退職の意思を伝える場面では、在宅勤務への希望を長く説明するより、退職したい意思と理由を簡潔に伝えます。会社への批判ではなく、「希望する働き方との違い」を軸にすると、話が感情的になりにくくなります。
たとえば、次のような伝え方です。
今後の働き方を考えた結果、在宅勤務を取り入れられる環境で働きたいと考えるようになりました。現在の勤務方針との両立が難しいため、退職を決意しました。
出社方針への不満が大きい場合でも、次のように言い換えると伝わり方が穏やかです。
会社の方針を否定する意図はありませんが、自分が希望する働き方との違いが大きくなりました。今後は別の環境で経験を生かしたいと考えています。
退職理由を詳しく聞かれた場合も、同じ内容を繰り返して問題ありません。退職理由を細かく説明して会社を納得させることより、退職の意思を明確に伝えることが重要です。
退職理由を「一身上の都合」と書いてよいのか
退職届や退職願などの書面では、会社の様式や手続きに従って記載します。一般的な自己都合退職の書面では、具体的な事情を本文に詳しく書かず、「一身上の都合」とする形式が使われます。
ただし、会社指定の書式がある場合や、退職理由の記載方法が決められている場合は、その指示を確認してください。書面に詳しい理由を書く必要があるか分からないときは、人事部門や直属の上司に確認しましょう。
引き止められたときの返答例
在宅勤務を認める、出社日数を減らすなどの提案を受けることがあります。退職の意思が変わらない場合は、条件交渉を続けるのではなく、結論をはっきり伝えます。
ご提案いただきありがとうございます。ただ、働き方だけでなく今後のキャリアも含めて検討したうえで決めたことですので、退職の意思は変わりません。
条件が変われば残る可能性がある場合は、曖昧に返事をせず、確認したい条件を具体的にします。
在宅勤務の頻度だけでなく、いつから適用されるのか、今後も継続される制度なのかを確認したうえで判断したいと考えています。
口頭の提案だけで判断せず、勤務日数、適用開始日、対象期間などが決まっている場合は、内容を確認できる形で示してもらいましょう。
避けたほうがよい伝え方
在宅勤務を理由にすること自体が問題なのではありません。次のように、相手を責めたり、転職先を決めていないのに断定したりする伝え方は避けたほうが無難です。
- 「出社する意味がないので辞めます」と断定する
- 「通勤が面倒だから働きたくありません」とだけ伝える
- 会社や上司の方針を一方的に批判する
- 実際には対応できないのに「毎日完全在宅でなければ無理」と後から伝える
- 家庭の事情や健康状態について、必要以上に詳しく話す
- 転職先が決まっていないのに、決まっているように説明する
完全在宅勤務を希望する場合は、面接の後半や内定後ではなく、勤務条件を確認できる段階で伝えましょう。条件を隠したまま入社すると、入社後に出社頻度の認識が合わなくなる可能性があります。
在宅勤務を理由に転職・退職するときの要点
転職活動では、在宅勤務を希望する理由、これまでの成果、必要な出社への対応をセットで伝えます。退職時は、現在の勤務方針と希望する働き方が合わなくなったと簡潔に説明すれば十分です。
最初に、希望する働き方を「完全在宅」「週に数日の在宅」「必要なときは出社」のどれに近いのか整理し、転職先の在宅勤務の頻度や適用条件を確認してから判断しましょう。







