ホワイト企業の離職率を調べる方法は?

ホワイト企業の離職率を調べる方法は?

ホワイト企業の離職率は、求人票だけでは正確に分からないことが多いため、会社の公式資料、就職関連の公表データ、口コミを組み合わせて確認します。特に見るべきなのは、離職率の数字だけでなく、対象者・期間・退職理由が明記されているかです。

ホワイト企業の離職率を調べる基本的な方法

調べるときは、次の順番で情報の信頼性を確認します。

  1. 会社の公式サイトや統合報告書、サステナビリティ資料を確認する
  2. 上場企業なら有価証券報告書やIR資料を確認する
  3. 新卒採用では、厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」を確認する
  4. 転職サイトや口コミサイトで、数字の背景や職場の評判を比較する
  5. 選考中に、離職率の対象と計算方法を会社へ質問する

1つのサイトに載っている数字だけで「ホワイト企業」と判断せず、同じ会社について複数の情報を照らし合わせることが大切です。

まず公式サイトで離職率を確認する

会社によっては、採用サイトやサステナビリティ資料で、離職率や定着率を公表しています。検索するときは、会社名に次の言葉を組み合わせると見つけやすくなります。

  • 会社名 離職率
  • 会社名 定着率
  • 会社名 人材データ
  • 会社名 サステナビリティ 人事
  • 会社名 統合報告書
  • 会社名 有価証券報告書

ただし、「離職率」と「定着率」は同じ意味とは限りません。定着率が高くても、特定の部署や雇用形態だけを対象にしている可能性があります。

公表された数字で確認する項目

確認項目 見るポイント
対象者 正社員のみか、契約社員やパートを含むか
期間 1年間か、入社後3年間か
退職者の範囲 自己都合退職、会社都合退職、定年退職などを含むか
集計単位 全社か、事業所・職種・雇用区分別か
計算方法 期首の従業員数を使うのか、期中平均人数を使うのか
対象時点 何年度の数字なのか

これらの条件が書かれていない数字は、他社や別年度の数字と単純に比較できません。

有価証券報告書やIR資料で確認する

上場企業では、有価証券報告書や統合報告書に、従業員数、平均勤続年数、平均年齢、人材に関する指標などが掲載されることがあります。離職率が直接載っていなくても、会社の人員構成や推移を確認する手がかりになります。

ただし、平均勤続年数が長いことだけで、離職率が低いとは断定できません。長く勤めている社員が多い一方で、若手社員の退職が多いケースも考えられるためです。

また、前年と今年の従業員数を比べても、採用人数や異動、定年退職、子会社との範囲変更などが影響するため、従業員数の減少をそのまま離職率とはみなせません。

新卒の離職率は公的な統計で確認する

新卒で入社する会社を調べる場合は、厚生労働省が公表している「新規学卒就職者の離職状況」が参考になります。これは、就職後の一定期間にどれだけ離職したかを、学歴や入社年などの区分で確認するための統計です。

この統計は、会社ごとの離職率を直接示すものではありません。業種や企業規模ごとの傾向を知り、検討中の会社の説明と比較するために使います。

たとえば、会社が「入社後3年間の定着率」を説明している場合は、同じく入社後3年間の統計と比べる必要があります。1年間の離職率と3年間の離職率を並べるなど、期間が違う比較は避けてください。

口コミサイトの離職情報は傾向として使う

転職サイトや口コミサイトでは、退職理由、残業時間、評価制度、部署ごとの雰囲気など、公式資料に出にくい情報を確認できます。ただし、投稿者や投稿時期が偏るため、掲載内容を会社全体の事実として扱うことはできません。

口コミを見るときは、次の点を確認します。

  • 投稿された時期が古すぎないか
  • 同じ内容が複数の投稿に見られるか
  • 特定の部署や上司に関する話ではないか
  • 退職理由が仕事内容、待遇、勤務時間、人間関係のどれに関係するか
  • 現在の制度や経営方針と時期が合っているか

1件の悪い口コミだけで判断する必要はありません。一方で、複数の時期にわたって同じ問題が書かれている場合は、面接で具体的に確認する材料になります。

離職率の計算方法を確認する

一般的な離職率は、一定期間の退職者数を、その期間の従業員数で割って算出します。ただし、企業によって分母や退職者の範囲が異なるため、数字だけでは比較できません。

計算例として、1年間の退職者が10人、期中平均の従業員数が200人だった場合は、次のようになります。

10人 ÷ 200人 × 100 = 5%

これは計算方法を説明するための仮定例であり、特定企業の実際の離職率ではありません。

会社に確認する場合は、「離職率は何%ですか」と聞くだけでなく、次のように質問すると条件が分かります。

  • その離職率は何年度の数字ですか
  • 正社員だけを対象にしていますか
  • 自己都合退職と会社都合退職の両方を含みますか
  • 定年退職や契約期間満了は含みますか
  • 全社の数字ですか、それとも新卒入社者だけですか
  • 分母は期首の人数ですか、期中平均の人数ですか

面接や面談で離職率の背景を聞く

公開情報が見つからない場合でも、選考中に聞けることがあります。離職率そのものを答えてもらえない場合は、退職者の傾向や在籍年数を質問します。

質問例は次のとおりです。

  • 直近1年間で、同じ職種の中途入社者は何人残っていますか
  • 入社後1年以内に退職する人は、どのような理由が多いですか
  • 配属予定の部署では、平均して何年くらい働く人が多いですか
  • 繁忙期の勤務時間や休日出勤の実態を教えてください
  • 入社後に仕事内容や勤務地が変わることはありますか
  • 退職者が出た場合、業務はどのように引き継ぎますか

採用担当者が数字を答えられないことだけで、職場環境が悪いとはいえません。会社が集計していない可能性もあるため、回答の内容が具体的か、質問を避けていないか、求人票や面接での説明と矛盾していないかを確認します。

離職率が低くてもホワイト企業とは限らない

離職率が低いことは、長く働いている社員が多い可能性を示します。しかし、それだけで給与、勤務時間、業務量、職場の人間関係が良いとは判断できません。

たとえば、次のような場合は離職率が低くても注意が必要です。

  • 退職者の範囲が限定されている
  • 非正規雇用や試用期間中の退職が集計対象外になっている
  • 部署ごとの差が大きい
  • 長時間労働でも退職せずに働き続けている
  • 採用人数が少なく、少人数の退職で数字が大きく変わる

反対に、事業拡大や人員再編によって一時的に離職率が高くなることもあります。離職率だけでなく、残業時間、休日、給与、休暇取得、育児や介護との両立制度、配属後の仕事内容も合わせて判断してください。

ホワイト企業か判断するための確認順

応募を検討している会社は、次の順番で調べると情報を整理しやすくなります。

  1. 公式サイトで離職率、定着率、平均勤続年数、人材データを探す
  2. 数字があれば、対象者・期間・退職者の範囲・計算方法を確認する
  3. 上場企業なら、有価証券報告書やIR資料で従業員数などの推移を見る
  4. 新卒の場合は、公的統計と入社後の離職状況を比較する
  5. 口コミで退職理由や部署ごとの傾向を確認する
  6. 面接で、配属予定部署の勤務実態と退職理由を質問する
  7. 求人票、面接での説明、公式資料に矛盾がないか確認する

最初に確認するのは、会社名と「離職率」「定着率」「人材データ」を組み合わせた検索です。数字が見つかったら、必ず対象と期間をメモし、別の情報と同じ条件で比較してください。

ホワイト企業の離職率を調べるときは、低い数字を探すだけでなく、その数字が誰を対象に、どの期間、どの方法で計算されたものかを確認することが重要です。公式資料、公的統計、口コミ、面接での回答を組み合わせ、離職率以外の勤務条件も含めて判断しましょう。